スズメバチはどんな蜂(ハチ)?
スズメバチはハチの中でも比較的大型のものが多く、攻撃性が高い性質があります。
また、防衛のためには、大型動物までも襲撃することがあります。
凶暴で、好戦的で積極的に刺してくることも多いと思われていますが、これは巣を守るためで、基本的には、何もしないのに襲ってくるようなことはありません。
主な種類は
- スズメバチ属
- クロスズメバチ属、
- ホオナガスズメバチ属
- ヤミスズメバチ属
の4グループに分かれています。
日本には、このうちヤミスズメバチ属を除く3属16種のスズメバチが生息していいます。
名前の由来
スズメバチの名前は、その大きさが雀ほどもあるまたは巣の模様が雀の模様に似ていることに由来しています。
地方によってはくまんばちと呼ばれていたりするため、クマバチと混同されることも多いのですが、くまんばちとクマバチは別の種類の蜂です。
また、巣のかたちからかめばちと呼ばれていることもあります。
インド・ヨーロッパなどではスズメバチを意味する単語は共通の語源に由来しています。
ラテン語のベスパ vespa やリトアニア語の vapsva を始めとして、オランダ語の wesp、ドイツ語の wespe、英語のワスプ (wasp)、スペイン語のアビスパ(avispa)などはスズメバチを意味する言葉です。
ただし、英語のwasp はスズメバチだけでなく、ジガバチなどを含んだ攻撃的な狩りをするハチ類を指す言葉です。
英語でスズメバチを指すもう一つの言葉である、ホーネット(hornet) は中世にはharnette, hernet、古英語では、hyrnetなどと綴られていて、ラテン語のcrabro , onis などと関連しています。
スズメバチはどんなものを食べるの?
幼虫の餌は、基本的には他の昆虫類です。
成虫が捕獲した昆虫などを、肉団子状にして与えるものが多いです。
成虫の餌は、幼虫に餌を与えた際に、唾液腺から分泌される栄養液が主になっています。
この栄養液の不足分や幼虫がまだ栄養液を出すまでに、育っていない時期には糖質を多く含む花蜜、樹液などを摂取しています。
エサが不足すると、幼虫を臨時の食糧としてしまうこともあります。
また、成虫同士で口移しで体内のエサのやり取りをすることもあります。
また、秋になると、キノコの一種であるシラタマタケの子実体内部の胞子を含んだ、液化部分(グレバ)を好んで摂取するようになります。
これは幼虫が減少してくることで、炭水化物もしくは蛋白質が不足してくるので、重要な餌となっていると考えられていいます。
大きな蜂が小さな蜂を狙う?
オオスズメバチは、捕獲する昆虫が減少してきたり、大量の雄蜂と新女王蜂を育てないといけなくなってくる秋になると、攻撃性が非常に高まって、集団で、ミツバチやキイロスズメバチの巣を攻撃することがあります。
オオスズメバチがニホンミツバチ (Apis cerana) の巣を襲撃した場合は、集団攻撃前に蜂球によって撃退されることがあります。
対抗する術をほとんど持たないセイヨウミツバチ (A. mellifera) の場合は養蜂家が早い段階で気づかなければ、必ずといっていいほど巣は全滅してしまいます。
数十匹ほどのオオスズメバチがいれば4万匹のセイヨウミツバチを2時間ほどで全滅させられてしまいます。
オオスズメバチの生息しない小笠原諸島では、セイヨウミツバチの野生化群が増加してきて、在来のハナバチ類を圧迫して減少させていることが確認されていて、ハナバチ類と共進化して受粉を依存している固有植物への悪影響が深刻化しています。
キイロスズメバチもオオスズメバチと同様にニホンミツバチなどの巣を襲撃します。
このような場合、ニホンミツバチが巣口周辺に多数集まって警戒態勢をとります。
キイロスズメバチがおよそ15cm以内に近づくと、最も近くの個体を始点として、腹部をそり上げながら翅(はね)を震わすウェーブを起こし、集団全体がブーン、ブーンという断続的な羽音をたてます。
このような大集団のすぐ近くでの狩りは、キイロスズメバチにとっても大変危険なものなのです。
必要以上に集団に近づかないよう非常に注意深く行動するのが観察されています。
うまく働き蜂を捕獲出来た時は、次の瞬間には獲物を抱えたまま非常な速さでその場を飛び去り、高い木の枝など、集団から十分に離れた場所まで運んでから改めて噛み砕きます。
逆に、ほんのわずかでも捕獲に手間取った場合には、それに気付いたニホンミツバチの集団に一斉に襲いかかられ、蜂球の内部で蒸し殺されてしまうことも多いです。
クロスズメバチは生きた昆虫だけでなく、カエルやヘビ、さらには人間が食べるような焼魚やゆで卵も巣に持ち帰ることが知られています。
スズメバチの天敵は?
巣の外で成虫を捕食するもの
鳥、ムシヒキアブ、シオヤアブ、オニヤンマ、
オオカマキリ,クモ、アリなど
成虫に寄生するもの
ネジレバネ、センチュウなど
巣の中で幼虫や蛹を食べたり寄生したりするもの
カギバラバチ、ベッコウハナアブ、メイガ、クマなど。
巣ごと駆除したり食用として採集
ヒト
生態
性別や女王蜂、働き蜂の決定は、基本的にはミツバチもアシナガバチも同じようなものです。
ハチ目の共通の性質として未受精卵はオス蜂に、受精卵はメス蜂になります。
従って、女王蜂が精嚢から精子を取り出す、もしくは取り出さないによって性別を決定しています。
働きバチはすべて雌(メス)です。
また、女王蜂になる卵と働き蜂になる卵は同じで、幼虫時代に食べさせられた餌によって地位が決定されます。
8~12月頃に羽化した新女王蜂は、幼虫から栄養液を十分摂取した後に巣を離れます。
雄蜂と交尾した後は一切食事はせずに、朽木などに越冬室を掘り、その中で冬眠に入ります。
翌年の春、冬眠から覚めた女王蜂は新しい場所で巣を作り始めます。
巣の材料を集めたり、幼虫の餌の捕獲は主に働き蜂の役割なのですが、
働き蜂が生まれるまでは女王蜂が全部行います。また働き蜂が生まれても、ある程度の規模に巣が大きくなるまでは、働き蜂と一緒に巣の維持や狩猟もしていくことも多いのです。
働き蜂は早ければ6月頃から羽化を始めて、9月から10月にかけて個体数が最大になります。
種類や気候によっても異なるのですが、例えばオオスズメバチでは一つの巣で数百匹規模にまで増えます。
働き蜂の個体数が最大になる少し前から、次世代の女王蜂候補の育成が始まってきます。
なお、今年の女王蜂が死ぬと、働き蜂が代わりに産卵するようになるのですが、働き蜂は未受精なのでオスしか生まれず、オスは働き蜂にならないので、巣は維持できなくなっていきます。
次世代女王蜂候補は結婚のため、巣を離れるまで働かないのが基本なのですが、何らかの原因で働き蜂が減少すると、働き蜂として働き始めます。
この場合、女王として蓄えた脂肪を消費してしまうため、オスが交尾しようとしなくなるので、そのまま働き蜂となります。
雄蜂は次世代女王蜂候補より少し早い9-11月頃に生まれます。
雄蜂は子孫を残すためだけの存在なので、全く働きません。
繁殖期になると若い女王蜂候補が巣から飛び立って、雄蜂も交尾のために一斉にその後を追います。
大半は天敵に捕食されるか力尽きます。
交尾に成功するのはこの中の極一部となっています。無事に交尾に成功したオスも間もなく死亡し短い生涯を終えていきます。
元の女王蜂はほとんどの場合が、女王蜂候補の巣立ち前に死んでしまいます。
働き蜂と雄蜂も基本的には越冬はしません。
つまり、越冬するのは新女王蜂候補のみです。
蜂の巣と幼虫
スズメバチの巣は、基本的にはアシナガバチの巣と似たものです。
材料は枯れ木からかじり取った木の繊維を
唾液のタンパク質などで固めたもので、
一種の紙のようなものになっています。
この材料を使って管を作ったものが巣の構成単位で、その中に卵を産んで、幼虫が孵化(ふか)して成長するにつれ部屋を拡大延長していきます。
幼虫がさなぎになると蓋をされ、羽化して成虫が脱出すると巣の役目は終了します。
このような巣を平面的に外側へ追加して、円盤状になったものを柄をもって木の枝などからぶら下げたものがアシナガバチの巣なのですが、スズメバチの場合は、この巣の周りを同じ材質でできた外被と呼ばれるもので覆っていきます。
外被は保温材としての働きの他、アリなどを防ぐ防壁としての機能もはたしています。
外被を作らないアシナガバチでは、巣の柄の部分にアリが避ける物質を塗って、これを防ぎます。
このように外被のある構造なので、スズメバチの巣は出入り口が一つしか無く、巣の形からも他のハチと見分けることが可能です。
女王蜂が最初に作る巣には、働き蜂が誕生して大きく成長した巣には見られない特徴が見られることがしばしばあります。
例えば初期の巣はトックリを逆さにぶら下げたような形をしていて、口の部分が出入り口になっていたり、クロスズメバチ類などでは巣の基質への付着部がねじれた三角形の板になっていて弾力で衝撃を吸収するようになっています。
こうした初期の巣固有の特徴も、働きバチの誕生に伴い巣が拡張されるとだんだんと失われていきます。
巣盤はアシナガバチのような1段ではなく、その下に新たに追加されて、数段の巣盤が互いに柱で結びついた形となって、外被も球形になっていきます。
囲いは巣材を採集する働き蜂の個体ごとに、異なる枯れ木や朽木、樹皮などの採取場所を持っています。
同じ個体は同じ場所から繰り返し材料を持ち帰ることが多いです。
材料はアゴで食いちぎり、唾液と混ぜて数ミリメートルのボールにして持ち帰ると、ボールを一部ずつを魚のうろこが成長するように塗っていきます。
作業をする個体ごとに持ち帰る材料が異なるので、巣は色違いのうろこ模様に彩られていきます。
大きなものでは一抱えもあるようなサイズになります。
この外被は働き蜂の造巣活動によって次第に皿状に湾曲したうろこを重ねたように空隙を抱えながら厚くなっていって、優れた保温効果を持つようになります。
さらに、働き蜂は、ある程度厚くなった外被の内側の巣材を削り取ってさらにタンパク質などを含んだ唾液で練り直し、より強靭な巣盤の材料として内部の営巣部の拡張を行います。
多段式に重ってくると巣を結合する支柱はさらに強度が必要になってきます。
幼虫がさなぎになるときに口から絹糸を吐いて巣室をふさぎ、繭を形成するが、支柱の建設に携わる働き蜂は、さなぎが羽化した後に不用になったこの繭の絹糸をかみ砕いてほぐし、内側から削り取った外被と唾液と練り混ぜて、支柱の素材とします。
こうして次世代の新女王蜂や雄蜂が養育される時期には巣は巨大なものに成長するが、日本のような温帯では、秋の終わりになると巣外で交尾し越冬する新女王蜂を除き全てのハチが死に絶えるので、巣は空っぽになります。
ただしこれは日本の場合であり、冬のない熱帯地方では1つの巣に数十匹の女王、数百万匹の働き蜂を抱える巨大な巣に成長する場合もあるのです。
長年、学者の間でもスズメバチは1匹の女王蜂で巣を作ると信じられてきましたが、1980年代の松浦誠などの研究により、複数の女王蜂の巣があることが明らかになってきました。
非常に稀な例なのですが、温帯でもキイロスズメバチの2匹の女王バチによるコロニーが見つかることもあります。
スズメバチの毒針の構造
毒針は、鋸状の細かい刃が密生した2枚の尖針が刺針の外側を覆うという構造をしており、この尖針が交互に動くことにより、膚のコラーゲン繊維を切断しながら刺さっていきます。
ミツバチと違い一度刺しても自身が死ぬことはありません。
刺針の鋸状の刃は、ミツバチのような返し状の粗大なものでなく、皮膚のコラーゲン繊維に引っかかって抜けなくなることはないため、毒液が残っている限り何度でも刺してきます。
また、毒液は刺して注入するだけでなく、空中から散布することもあります。
散布された毒液は警報フェロモンの働きをし、仲間を集めて興奮させるため、集団で襲ってきます。
特別な装備がなければ、早急にその場から離れましょう。
防護服を着ていても刺される場合がありますし、呼吸孔から顔へ毒液を飛ばす場合もある。目に入ると失明する他、皮膚に触れると炎症を起こします。
とりあえず、お困りの際はご相談くださいね。
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