ミツバチってどんな蜂(ハチ)?
ミツバチ(蜜蜂)とは
ハチ目(膜翅目)・ミツバチ科・ミツバチ属に属する昆虫で、花の蜜を加工して巣に蓄えて蜂蜜とすることで知られています。
現在、世界で9種が知られていて、特にセイヨウミツバチは全世界で養蜂に用いられていて24の亜種が確認されています。
日本で養蜂されている蜂は?
日本ではニホンミツバチ、セイヨウミツバチの2種が養蜂されて蜜の採取が行われています。
また作物の受粉にも広く用いられていますが、トマトやピーマンなどのナス科の果菜類は蜜を出さず特殊な振動採粉を行うためミツバチではなくマルハナバチ(ミツバチ科マルハナバチ属)が使われています。
セイヨウミツバチの養蜂においては規格化された巣箱を用いて大規模な採蜜が行われます。
一方、ニホンミツバチの場合は一部の養蜂家がハニカム人工巣を用いた養蜂を行っていますが、多くは野生集団を捕獲して飼育し、蜜を採る際には巣を破壊して搾り取る。
と言う伝統的な手法が主なので、蜂蜜の流通量も多くはありません。
日本では2012年6月に養蜂振興法(昭和30年8月27日法律第180号)が改正されて、原則としてミツバチを飼育する場合には都道府県知事への飼育届の提出が必要となりました。
ミツバチの種類
現生種
ミツバチ属 は現生種ではコミツバチ亜属 、オオミツバチ亜属 、ミツバチ亜属 3亜属、合計9種に分類されています。
そのいずれもが、真社会性の昆虫で、餌に花蜜や花粉を集めています。
コミツバチ亜属及びオオミツバチ亜属の種は、開放空間に巣を作りその巣板は1枚です。
ミツバチ亜属では樹洞のような閉鎖空間に巣を作り、複数の巣板を作ります。
コミツバチ亜属には2種が属していて、その体の大きさはミツバチ属の中でも、最も小さく、現生種のうちで最も祖先的な群となっています。
化石種
化石種は1976年に17種が記録されましたが、2005年に3亜属8種に整理されました。
3亜属のうち1亜属は現生種と同じオオミツバチ亜属です。
その後アメリカ合衆国ネバダ州で発見された中新世中期の化石がミツバチ属のものであることが2009年に発表されて、Apis nearctica と命名されました。
これは新世界で初めて発見されたミツバチ属の化石となりました。
ムカシミツバチ亜属 Cascapis は1種とされていましたが、2009年に1種追加され2種となりました。
ミツバチの生態
新世代の女王蜂の羽化(うか)を目前とした巣では群の分蜂(ぶんぽう)が起こり、旧世代の女王蜂は働きバチを引き連れて今までの巣を出て新しい巣を作る場所を探しに出ます。
この際に、旧世代の女王蜂をまもって働きバチが塊のようになる分蜂蜂球(ぶんぽうほうきゅう)を作ります。
くまのぷーさんのアニメなどで、蜂が丸い固まりを作って飛んでいる様子を見たことがある方もいらっしゃると思いますが、あれが分蜂蜂球です。
また、新しい巣を作る場所を見つけるまでに飛び疲れると、途中で固まって休憩することがあります。
いきなり、沢山のミツバチが飛んできてあれよあれよという間に、蜂の塊ができることがあるのですが、その場所に巣を作ることは無く巣を作る場所が見つかれば、蜂は居なくなってしまうのですがその時間が、30分程度から数日間です。
巣は無いとわかっていても、蜂の塊が家の敷地内にあると、嫌なものですね。
女王バチ決定の仕組み
ミツバチの働きバチは受精卵から発生する2倍体(2n)であり全てメスです。
通常メスの幼虫は主に花粉と蜂蜜を食べて育ち働きバチとなりますが、働きバチの頭部から分泌されるローヤルゼリーのみで育てられたメスは交尾産卵能力を有する女王バチとなります。
ミツバチのオスバチ
オスは未受精卵から発生する1倍体(1n)です。
巣の中では働き蜂(ハタラキバチ)に餌をもらう以外特に何もしません。
オスは働きバチに比べて体が大きく、巣房のサイズも大きめになっています。
卵や幼虫の期間は働き蜂と大差ありませんが、蛹(さなぎ)の期間は女王蜂よりも長い14日ほどになります。
働きバチや女王バチよりも複眼と単眼が非常に発達していることが外見上の特徴となっています。
オスバチはなまけもの?
オスバチを指す英語droneはなまけものという意味があります。
オスバチのおよそ1ヶ月~1ヵ月半ほどの生涯のうち、することと言えば交尾場所に行って、女王蜂を追いかけるくらいです。
巣箱の中では働き蜂から餌をもらうか、蜜房へ自分でおもむき蜜を吸うほかは、うろうろと走り回っているか、毛づくろいをしてるかと言った具合です。
春の晴天の日を選んでオスバチは女王バチと交尾するために、外に飛び立ちます。
交尾のためだけに、ときには数キロも離れた場所からハチが集まってくるのです。
女王バチはオスバチを惹きつける強力なフェロモンを放出し、オスバチは女王バチに群がります。
女王バチは何度も交尾をしますが、オスは一度しか交尾できません。
オスバチが女王バチに触れてから精子を渡すまでは、わずか2~4秒という短さです。
オスバチは交尾の為の射精後に速やかに死亡します。
新女王蜂はこの死体をぶら下げてしばらく飛翔するがやがて交尾器がちぎれて雄蜂の死体は落下してしまいます。
新女王蜂は体内に残った交尾器を排除して再び雄蜂の群れに向かって交尾を行います。
この配偶行動が幾度か繰り返されて新女王蜂の体内に一生の間で使用されるだけの精子が蓄えられると巣に帰って産卵を開始します。
アリ科やスズメバチ科の社会性昆虫の多くは生涯交尾回数が一度だけで、一個体の雄としか交尾しないのですが、ミツバチだけは例外のようです。
交尾できなかったオスも巣に戻りますが、繁殖期が終わると働きバチに巣を追い出される等して死んでしまいます。
オス蜂と女王蜂の集合場所は決まっています。
地上30メートル前後、直径100メートル前後の空間が彼、彼女たちの結婚場所になりますが違う巣箱の蜂同士が同じ集合場所に集う。
それは毎年ほとんど変わることはありません。
また、正確な体内時計のおかげで密会の時間も正確に決められていると言われています。
ただ、集合場所の条件や、どうやって来年の子孫に伝播されていくのかはまだ解明されていません。
ミツバチの寿命
セイヨウミツバチの成虫の寿命は
- 女王蜂が1-3年(最長8年)
- 働き蜂が最盛期で15-38日
- 越冬期が140日程度
- オスバチは21-32日
です。
ニホンミツバチの寿命は
- 女王蜂の寿命は2~3年
- 働き蜂は最盛期で30日程度
- 越冬期は120~150日です
- オスバチは30日程度
と、どちらの種でも大差はないようです。
性決定の仕組み
受精卵からはメス(女王蜂または働き蜂)が生まれますが、卵が受精せずに発生した場合はオスとして生まれます。
オスはメスの半分の染色体数を持っていてそれはすべて母親(女王蜂)に由来します。
蜜の場所を教えるミツバチダンス
ミツバチは蜜源を見つけると巣内の垂直な巣板の上でダンスを行って、仲間に蜜源の方向と距離を伝えます。
これは本能行動の例としてたびたび使われます。
ミツバチのダンスは蜜源の場所という具体的な情報をダンスという抽象的な情報に変換して伝達が行われているため、記号的コミュニケーションであると考えられています。
ミツバチダンスは大発見だった!
ミツバチのダンスコミュニケーションを発見したカール・フォン・フリッシュは
「高次なコミュニケーション能力が昆虫にもある」
という発見が評価され、ニコ・ティンバーゲン、コンラート・ローレンツと共に1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
蜜源が近い場合には、体を振りながら左右に交互に円形を描く円形ダンスをおこなう。
蜜源が遠い場合(50m超)は尻を振りながら直進 – 左回りして元の位置へ
という、いわゆる8の字ダンス(尻振りダンス)を繰り返します。
このとき尻を振りながら直進する角度が太陽と蜜源のなす角度を示していて、真上が太陽を示します。
つまり巣板上で右手水平方向に向かって尻を振るような8の字を描いた場合、太陽を左90°に見ながら飛べという合図になります。
また、ダンスの時の尻を振る速度が蜜源までの距離を表しているそうです。
すなわち尻振りの速度が大きいときは蜜源までの距離が近く、速度が低いときには距離が遠い。
花粉や水の採集、分蜂時の新たな巣の場所決定に際しても、同様のダンスによるコミュニケーションが行われています。
蜜を持ち帰った働きバチは、貯蔵係のハチに蜜を渡すが、そのとき貯蔵係は糖度の高い蜜を優先して受け取り、糖度の低い蜜を持ったハチは待たされます。
このことによって、より良い蜜源へ、働きバチを集中的に動員できるのです。
ミツバチの巣の構造
蜂の巣(巣板)
自然の状態では、ミツバチの巣は巣板と呼ばれる鉛直方向に伸びる平面状の構造のみからなります。
ミツバチが利用した空間の形状によっては巣板が傾いていることもあるようです。
巣板の数はミツバチの種によって異なります。
養蜂に用いるニホンミツバチやセイヨウミツバチは複数枚の巣板を形成し、自然の状態でも10枚以上にのぼることがあります。
コミツバチなどは巣板を1枚しか作らないため、養蜂には向いていません。
ミツバチは巣板を防御する構造物を自ら作り出すことはせず家屋の隙間や床下、木のウロなどもともと存在する外壁を利用したりします。
都市部では巣板がむき出しになった巣も存在しています。
巣板は中空の六角柱が平面状に数千個接続した構造である。
このような構造をハニカム構造(honeycomb、蜂の巣の意)と呼美ます。
強度に優れ、材料が最少で済むという特徴があります。
六角柱は厚さ約0.1mmの壁でできていて、奥行きは10~15mmになります。
底部は三角錐になっています。
巣板の材料はミツバチの腹部にある蝋腺から分泌された蜜蝋(みつろう)です。
幼虫を育てるために使用する穴の奥行きは10~15mmであすが、蜜を貯蔵するために使用する穴の奥行きはバラツキが大きく20mm程度に成る場合もあります。
とりあえず、お困りの際はご相談くださいね。
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