チョウバエの幼虫の被害を侮ってはいけない⁉発生源を知って対策を!

チョウバエの名前の由来

チョウバエの成虫は翅(はね)や全身が剛毛や鱗毛(りんもう)で覆われていて、静止時に翅(はね)を広げたり、屋根型に畳んだりする姿勢はむしろ蛾(が)に似ています。

英語では “moth fly”、ドイツ語では “Schmetterlingsmucken” と呼ばれています。

ドイツ語の “Schmetterling” は日本語の蝶(ちょう)と蛾(が)の両方を含む概念なのですが、一般的にチョウと訳されることが多です。

このドイツ語の日本語訳からチョウバエ(蝶蝿)の名前がついたと言われています。

チョウバエの生態

チョウバエ類はユスリカや蚊(か)に近いグループに属するハエ目の一種です。

現在、世界ではチョウバエの種類は約 300 種が記録 されていて、日本では 74 種が報告されています。

成虫(せいちゅう)の触角(しょっかく)が3節だけからなる狭い意味でのハエとは異なっていて、チョウバエの成虫の触角は多数の節からなっています。

長い触角で、空気の流れや化学物質のニオイを感知します。

体は体長1〜4mmほどで、ハート型を逆にしたような形をしています。

室内に侵入すると、洗面台や流し台の水回りの部分にあるガラス窓や壁にとまる習性があります。

体は灰黒色で、体の表面には毛が密生しています。

チョウバエの中で日本で、最も一般的に見られる種類が

  • ホシチョウバエ
  • オオチョウバエ

の2種類です。

チョウバエは、石鹸カスや皮脂等の油汚れが大好きで、汚れやヌメリが溜まりやすいジメッとした場所(トイレ、洗面所、厨房、風呂など)に発生します。

トイレに多く発生することから俗称で便所バエなどとも呼ばれることもあります。

汚水槽の配管などを通じて、油脂の床洗浄を行わない料理店の厨房などの、ゴキブリが寄り付かなくなった場所でも発生するために、最後の害虫と呼ばれることもあります。

チョウバエによる被害

多くのチョウバエ幼虫が湿地池沼などの水際で藻類(もるい)デトリタス(生物遺体や生物由来の物質の破片や微生物の死骸など)摂取して育ちます。

目立たない生活を送っていますが、限られた一部の種類は

  • 集合住宅
  • 飲食店
  • ビルの浄化槽
  • 鶏舎(けいしゃ)
  • トイレの貯水槽

などから発生して、不快害虫として問題になります。

台所や風呂場などでよく見かけますが、居間にも進入することもあり、細菌の運搬者になる可能性があります。

また、幼虫が人の泌尿生殖器、消化器、まぶたなどに迷入してハエ症を引き起こすことが知られています。

ハエ症って何?

チョウバエの卵が体内で孵(かえ)って、幼虫が消化器官等の体内に寄生(きせい)するのです。

例をいくつかあげると

  1. 鼻の穴・口に卵を生み、孵化(ふか)、幼虫が気道に侵入します。
  2. 眼に寄生して、違和感から洗眼したら幼虫がウジャウジャ出てくる。
  3. 血尿、下腹部の痛みを感じて、気づくとチョウバエの幼虫が尿から出てくる。

どれも想像したくありませんね!

小さい虫だし、見た目も、ハート型のような形なので、あまり不快感を感じない方も多いかもしれませんが、罹(かか)ったら嫌な病気なので、油断せずに、早めの対応をお勧めします。

チョウバエの種類

日本の家屋などでよく見られるチョウバエの種類はこの二種類です。

ホシチョウバエ

小型のチョウバエです。

成虫の体長は1.3-2mm程度です。

体色は灰色で、翅(はね)は大きく周辺部に5〜6個の黒斑があります。

幼虫は体長8mmほどで、灰色がかった白色をしています。

世界各地に生息しています。

発生時期は4〜12月にかけてですが、暖かい工場(特に食品工場)や飲食店などでは冬でも活動が見られます。

卵は2日ほどで孵化(ふか)して、幼虫期間9-15日を経過して蛹(さなぎ)になり、2日後には羽化(うか)します。

オオチョウバエ

オオチョウバエ成虫の体長は4-5mm程度になり、ホシチョウバエに比べると個体は、
かなり大きいです。

体色は灰色で、翅(はね)の脈の末端には8個の白点があります。

幼虫は体長8-9mm程度で、全体に褐色となります。

世界各地に生息しています。

5〜10月にかけて発生し、生活史はホシチョウバエに似ています。

卵は2日ほどで孵化(ふか)して、幼虫期間約10日を経て蛹(さなぎ)になり、3〜4日で成虫が羽化(うか)します。

トイレなどの壁面に止まってるのをよく見かけます。

まとめ

チョウバエは、ハエというよりも、むしろ蛾(が)に近い虫です。

日本でよく見かけるチョウバエの種類は、大きく分けてホシチョウバエオオチョウバエの二種類です。

小さな虫なので、あまり気にされないことが多い虫ですが罹(かか)ったら嫌な、ハエ症という病気を引き起こす可能性がある害虫です。

見くびらずに、まずは発生源を探し、早め早めの根本的な対策をしましょう。

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